マングローブの破壊は減少したが、新たな保護が必要
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かつて農業や開発のために破壊されたマングローブの森林伐採が、世界的に激減しています。
グローバル・マングローブ・アライアンスの新しい報告書には、マングローブの減少を”完全に”食い止めるための計画を提示しています。それは、新たな森林破壊を防ぎ、最近失われたマングローブ林の半分を再生し、保護地に指定されるマングローブ林の量を倍増させるというものです。
2010年から2020年の間、マングローブ林の年間伐採量は1996年から2010年と比較して5分の1以下にまで減少した、とケイトリン・クーパー氏( Caitlin Cooper )はMongabayに投稿しました。現在、世界のマングローブ林の42%以上は保護下に置かれていると考えられており、ユネスコによると、2012年から17%増加しました。
かつてあまり評価されなかったマングローブの価値が、今、注目されています。自然界のヒーローであるマングローブを保護する取り組みは活発化しています。2022年エジプトで開催されたCOP27国連気候変動枠組条約締約国会議において、コンサベーション・インターナショナルがパートナーと共同で設立した「グローバル・マングローブ・アライアンス」は、2030年までに世界中で1500万ヘクタール(15万平方キロメートル)のマングローブ林を回復し、保護するという新しいイニシアティブです。「マングローブ・ブレークスルー」と呼ばれるこのイニシアチブは、40億ドル(約5,280億円)の投資を通じて、公共、慈善、民間の資金をマングローブ保全に活用することを目指すものです。
しかし、マングローブ林の保護に関しては、すべての状況が同じように当てはまるわけではありません。失われたマングローブを回復させるには、それぞれの生態系とや直している脅威に応じて、保全計画を立てる必要があるのです。また、農業や水産養殖のために開発された地域などは、劣化が進行しすぎて全く復元不可能な地域もある、と報告書は指摘しています。
陸域の森林再生は伐採された木を植え直すのが一般的ですが、マングローブ林はよりダイナミックな動きの中で形成されます。そのため、ただ植林するだけでなく、栄養分を運び、塩分濃度を調整する水路の水流を維持し、潮の満ち引きを回復させることも必要なので、より困難を伴います。
しかし、潮の満ち引きを考慮したプロジェクトが、マングローブの自然な生育に有効であることが証明されているのはすばらいことです。コスタリカの太平洋岸にあるプンタレナス河口では、地域住民が5,000メートル以上の水路を掘削・修復し、マングローブの森に水の流れを回復させた例があります。
コンサベーション・インターナショナルが支援するこのプロジェクトは、コスタリカ最大のマングローブ再生プロジェクトで、約3,400ヘクタール(34平方キロメートル)の範囲に7種のマングローブが生息しています。
全文はこちら。
※本ブログ記事は2022年11月23日に投稿されたCI本部のブログを和訳したものです。
投稿 : CIエディトリアル・ディレクター、エマ・カミングス=グルーガー
翻訳協力: 井上晃利
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