CBD SBSTTA16 報告① 5月2日(水)
モントリオールで開催されている生物多様性条約のSBSTTAに参加している生態系政策マネージャーのNです。議論の簡単に報告していきたいと思います。
今回の会合のCIとしての最大の関心事は気候変動と生物多様性、特にREDD+と生物多様性に関する議論です。この議題は、4/30夕方から作業グループで議論が始まり、昨晩(5/2)にはFriends of the Chair会合(FoC)がありました。FoCは、意見の相違がみられる内容について、関係する締約国が小グループで議論する会議のことです。議長から参加が求められた国に加え、関心がある国・人は自由に参加できます。
昨晩の議論は、REDD+のセーフガードと効果を測る仕組みに関する文書(SBSTTA/16/8)についてでした。主な対立点は。。。。
パラ7:必要に応じて生物多様性と先住民族・地元住民に関する既存のセーフガードイニシアティブを参考に、UNFCCCで合意されたセーフガードを実現すること(UN-REDD、FCPF、REDD+ SES)
→具体的なイニシアティブを示すことでスコープが狭められたり、すでに進んでいる国内での取組が束縛されることを嫌う国が、既存のイニシアティブへの言及を削除するよう求めたのに対し、各国での取組のガイダンスとして有益なために言及を残すことを主張する意見がある。REDD+ SESはCIが深く関わっていますし、具体的な事例もあるものなので、言及を残すように働きかけたいです。
パラ8:上記のイニシアティブを進める組織は、途上国でのREDD+における生物多様性と多面的便益の取組を進め、セーフガード枠組の確立の支援を奨励する
→パラ7に関連して、削除されるかもしれません。
パラ9:FAOと連携して、Global Forest Resources Assessmentから条約の実行に有益な情報が得られるよう、事務局がFAOと連携することを求める
→具体的にFAOの取組に触れることを避けたい意見と、有益な情報源になり得る取組を有効に活用しない手はない、という主張の対立です。
パラ10:8条j項に関する作業グループに、REDD+が起こす可能性があるリスクについて、対策を視野に検討することを求める
→8条j項に関する作業グループでの議論が進行中なので、それがまとまってから追加作業を求めるべき、という順番の整理の観点(といっていました)から削除を求める意見と、REDD+の影響を検討する必要性から残すべきという意見の対立。
パラ12:この文書の内容を踏まえ、REDD+が条約の目的に対する効果のモニタリングと評価をするためのオプションを用意すること
→UNFCCCでの議論がまとまっていないことと、この文書に添付されている指標案(例?)の検討も未熟なので今の段階でこのことを求めるべきでないという意見があり合意が見られないのですが、次の2点から、このパラは維持すべきと思います。
・検討が不十分だから、さらに検討を深める必要がある
・UNFCCCの議論とは別に、生物多様性に関して大きな貢献とリスクになり得ることに関し、生物多様性条約からインプットすることは、条約の役割ではないか?
パラ3:この文書を承認すること
→「承認」するには議論が未熟だという意見があり、「Take note留意する」に留めるべきという主張と、もっと評価を高めて少なくとも「歓迎する」とすべきという意見、「承認する」を維持すべきという意見が対立。取組が伴うのであれば、あまり表現にはこだわりませんが、議論を熟させるためのSBSTTAであってほしいと思います。
昨晩の議論と作業グループでの議論を反映された文書(Conference Room Paper)がまもなく出てくることになっています。1時間後から、FoCが再度開かれるとのこと。また報告します。