国連気候変動会議/UNFCCC ボン便り:「森林減少の要因」サイドイベント開催!
気候変動プログラム・ディレクターのYです。今日の交渉は全てにおいて停滞気味だったので、気分を一新し、現地時間17日(木)の夜にCIが開催した「森林減少の要因(ドライバーと呼びます)」のワークショップについて報告します。正確には、昨日の私は、このサイドイベントを成功裏に終わらせるため奔走していました。
今回のSBSTAのREDD+の議題の一つである、「森林減少のドライバー」。つまり、途上国の森林が減少するの原因が何であり、誰が関わっているかを検討し、対応策を検討する、というものです。現場での実践に基づき政策提言を行うCIとしては、「ドライバー」の特定とは、REDD+のみならず、全てのプロジェクト計画のまさに基礎となるもの。対処方法は、国家政策の改善や現地コミュニティが森林を伐採しなくてもすむための代替生計手段の開発等、地域によって様々です。今後のREDD+への対応策を協議する上でも、今回SBSTAで重要な協議事項の一つとなっています。
さて、今回のサイドイベントでは、様々なNGOからの発表に加え、昨年度CIジャパンが地球環境センター(GEC)を通じ受託した環境省の「新メカニズム実現可能性調査」として実施した調査の一環である「カンボジア・プレイロング地域の森林減少ドライバー・ワークショップ」の結果を、カンボジア政府森林局のオマリス・ケオ博士にご発表頂きました。オマリスさんは、カンボジアのREDD+フォーカル・ポイントとして調査の全般にご協力を頂いた、心強きパートナーです。昨年度、私は本調査のためカンボジアを3回訪れた他、森林生態系を専門とする同僚はカンボジア人さえなかなか踏み入れることのない森林地域の調査にみっちり2週間以上入りました。
しかーし!UNFCCCのサイドイベントは、申し込む段階で日時を指定できないため、木曜日の20時―21時半という最悪のスロット。さらに運が悪いことに、全く同じ時間に、クローズドで進んでいるREDD+のドラフティング・グループと呼ばれる交渉テキストのドラフト作業が決定してしまい、REDD+担当の交渉官のほとんどがこれなくなってしまいました。たくさんの方々がこのイベントに来てくれるはずだったのに~!!!それでも、意外に盛況のサイドイベントで、ほっとしました。
・写真:発表を始めるカンボジア政府森林局のオマリス・ケオ博士
NGOに交じってたった一人政府として発表頂いたオマリスさんからは、カンボジア政府のREDD+の進捗状況をご発表頂いた他、CIがカンボジア政府と共催した「参加型のドライバー・ワークショップ」についてご紹介下さいました。このワークショップは、プレイロング地域がまたがる4州の州政府機関、中央政府、現地NGOなど、総勢50名にご参加頂いたもので、全員で話し合い、学び合いながら森林減少のドライバーを特定し、その対策を練ると言う会議でした。
・写真:ワークショップの説明をされるケオ博士(写真の真ん中に僕のボスと私が座っている、と冗談を言っています。私としては、ここに座ってと指示されたので、仕方なかったのですが・・・・)。
その後、世界の様々な地域からの事例を紹介したNGOの方と並び、会場と大変活発な協議が行われました。企業活動が森林減少に直接的に関わっていたブラジルのアマゾン地域では、NGOがいかに森林減少を止めることに貢献しかたを例に挙げ、盛り上がりました。
閉会後、中央政府として地元政府やNGOと参加型で森林減少のドライバーを特定するワークショップを開催した、というオマリスさんの発表は、大変素晴らしく非の打ちどころがないとのコメントを、他の政府やNGOの方から頂きました。この言葉を聞いて、私も昨年の出張の苦労が吹っ飛びました。というより、このワークショップは本当に参加していて楽しく、私自身も大変勉強させて頂いたのです。このような現場での実践に基づく地道な活動が、とてつもなく巨大なUNFCCCという枠組みを動かしていくテコになるよう、現場での実践と政策の頂点をつなぐ仕事を続けて行こうと、改めて感じいった一日となりました。
(番外編:REDD+のドラフティング・グループの時間が夜7時~に決定した瞬間から、オマリスさんもREDD+担当の交渉官なので、私は半ばパニック状態でサイドイベントに時間通り到着してリハーサルや発表をしてもらえるよう、電話で懇願したりしていました。一方、ご本人はいたって普通に「もちろんだよ」、と。一度引き受けた事は、最期まで責任もって実行してくれる方であることに、改めて気付かされました。少しでも疑ったりして、ごめんなさい!)