国連気候変動会議/UNFCCC ボン:サイドイベント②「気候変動の緩和と適応に貢献する農業」
気候変動プログラム・ディレクターのYです。現地時間の21日(月)に、団体が参加する2回目のサイドイベント「農業:気候変動への適応、排出削減、社会的目標達成のチャンス」が開催されました。実は、今回の会合で、農業は大変ホットなトピックです。セクター別アプローチの交渉スロットに農業が入り、気候変動枠組み条約の下でも農業が協議されるています。しかし、「農業は適応策とはなり得るが、気候変動の緩和にはならない」という主張がほとんどであり、「気候変動の緩和」につながる、との見解は少数派です。その背景には、アフリカ諸国をはじめとする爆発的な人口増加がある中、食糧補給のためにも、農業はまず途上国の人々を支えていくために必要不可欠な産業として、気候変動の影響に適応することから検討しなければいけない、という考え方が途上国側の主な主張です。
一方、途上国の現場で活動を展開するCIは、農業はもはや適応策の枠を超え、気候変動の緩和にも貢献するように計画的に実施されるべきであると考えています。地元住民との入念なコンサルテーションに基づく計画的な土地利用に基づき、先住民族や山岳地帯に住む人々への能力向上支援とともに農業を計画的に進めれば、食糧の補給と気候変動の緩和の双方に貢献することが可能であるからです。このためには、先進国をはじめ、NGOや途上国間での知識の交流や能力開発支援が重要です。
本日のサイドイベントでは、まずCIコロンビア・プログラムのアンヘラ・アンドラーデが、コロンビアの標高の高い山岳地帯の生態系を守りながら、地域の農業の気候変動への適応策を支援する実践現場からの報告を行いました。
(写真:サイドイベントで発表するCIコロンビアのアンドラーデ)
(写真:サイドイベントで発表するCIコロンビアのアンドラーデ)
続いて、他のNGO団体より、農業における適応と削減を統合する実践活動や、土地利用活動の選択に関する政策的アプローチの重要性等が続々と発表されました。しかし、前々回のブログでも報告したサイドイベントに引き続き、何と、今回の農業のサイドイベントも、農業のSBSTAでの交渉スロットとばっちり重なってしまいました・・・。たくさんの交渉官の方が楽しみにして下さっていたのに。
それでも、SBSTAの交渉が終わってから続々とサイドイベント会場に駆けつけて下さった、日本政府を含む多くの政府の農業担当交渉官の方々より、「大変重要なサイドイベント」というご意見や、「今回の農業のSBSTA決議案に、どのような文言が入るべきか?」等というご質問まで頂きました。
長い交渉を終え、お昼ごはん抜きのままサイドイベントに駆けつけて下さった各国の交渉官の方々、本当にありがとうございます。CIは、これからも、農業などの土地利用活動に基づく取り組みが、今後の地球環境の保全と地元の人々の福利の貢献の鍵となるよう、どんどん野心的な取り組みに挑戦していきます。現在、世界数カ国で生態系機能を利用した適応策の研究を実施しており、その中には多くの農業支援策が実践プログラムとして含まれています。