国連気候変動会議/UNFCCC ボン便り:会合開幕!

気候変動プログラム・ディレクターのYです。514()から同25()にかけてボン(ドイツ)で開催される気候変動枠組み条約会議(UNFCCC)に参加しています。今回のボン会合では、交渉が大きく分けても4つのトラックに分かれて進行されます。このため、日本など、多くの交渉官が参加する先進国に比べ、数少ない気候変動交渉官で全てを対応しなければいけない途上国は、既に会議参加のスケジューリングに大わらわです。ややマニアックではありますが、その4つの会議を説明します。

1.科学的な知見から対応策を協議する「気候変動枠組条約第36回補助機関会合(SB36)」。
2.SBからの報告を受け、正式に長期的な行動に向けた交渉文書を決定していく「条約の下での長期的協力の行動のための第15回特別作業部会(AWG-LCA15)」。
3.日本が昨年のダーバンで開催されたCOP17で第2約束期間からの離脱を表明した京都議定書に関わる「京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する第17回特別作業部会(AWG-KP17)」。
4.昨年のCOP17で誕生した、全世界の参加を前提に2015年までに合意、2020年に発効を目指す「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」、です。

実は、「長期的協力の行動(LCA)」は、2012年中にクローズされることが前提とされています。そして、昨年のCOP17で合意した「ダーバン合意」の具体的な交渉に移行していく、というのが本来の筋書きですが、そう簡単に交渉が進むものか、誰も分かりません。「ダーバン・プラットフォーム作業部会」に関しては、合意されたばかりであるため、法的枠組みを議論するよりも、まずは今後全世界で気候変動に立ち向かっていくための新規枠組みについて、ワークショップ形式で情報交換をしようという意向のようで、アジェンダもワークショップ形式で組まれています。
昨年のCOP17では、全世界が合意しなければいけない国連の枠組みで気候変動を交渉していくことの「限界説」まで出ていました。これからこの4つのトラックがどのような波及効果をお互いに与えながら、交渉が進んでいくことになるのか。途上国の森林減少や気候変動の影響により貧困が進む現場を見続けてきた私としては、地球の未来に向け迅速な対応が求められる中、毎回交渉のスピード感の遅さに気落ちすることも否めません。
私は、主にCIが多くの国で既に国の政策や実践活動を開始している「途上国の森林の減少と劣化に由来する排出の削減(REDD+)」、LCA、ダーバンプラットフォーム(ADPと呼ばれます)やサイドイベントを追って報告していきます。マニアックな内容になりがちですが、生で会議に出ているからこその報告をしていきたいと思いますので、2週間、是非お付き合い下さい。

写真:REDD+SBSTA(本会合までNGOが傍聴できましたが、その後はひたすらクローズドで進んでいます)。


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