国連気候変動会議/UNFCCC ボン便り:ダーバン作業部会の議長が決まらない

気候変動ディレクターのYです。現地時間17日(水)から開会した、ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP)。ご存知の方も多いと思いますが、ダーバンプラットフォームとは、昨年の12月に南アフリカのダーバンで会議を約2日間も延長してやっと合意に至った、全世界で気候変動に取り組んでいくための新たな気候変動条約の枠組みです。2015年までに内容を合意し、各国が法的手続きを整え、2020年に全世界規模で発効することを目指しています。アメリカやインド、中国、日本も、参加する前提で発足した枠組みです。
ところが、昨日より開会したADPで何とも困った現象が起きています。会議開始の時点で決定しているはずの議長選が、もめにもめ、未だに決定していないのです。このため、会議の本題はおろか、アジェンダの決定にすら入ることができません。
現在、違う地域から推薦された、3名の候補者の方が立候補しています。本日になって、ひとまず会議を名目上でも開催するために、事務局命を受け、副議長の方が議長席に座りました。そこから、各国の激しい応酬が始まりました。特にすごかったのが、中国。後から数えてみたら、1時間半程の会議で8回も発言していました。中国の主張は、地域的バランスからみて、アジアグループは一番国数が多いのに、LCAなどの議長を経験した回数が5回と、アフリカグループの15回に比べ、少なすぎる。だからこそ、公平性の観点から、アジアの候補者に優先権があるべきだ、と同じことを何度も何度も繰り返していました。この理由は、後ほどアジアグループからの候補者がどこの国の方であるかで、分かると思います。
この発言に対し、副議長の方は、「ADPの議長は、選出された地域のために仕事をするのではない。UNFCCC、いや、地球の未来のために議長の仕事に従事するのだ」と返し、会場は割れんばかりの拍手がしばらく鳴りやまない状況に陥りました。その後、彼は「ここで喝采を受けるための発言ではなかった、当然のことを言ったのみである。申し訳ない」と付け加え、淡々と会議を続けました。私は個人的にも是非ADPの議長には小島嶼国連合(AOSIS)の方に就任して頂き、停滞している気候変動条約を牽引して頂きたいと思っています。国家の存続事態に瀕しているAOSISは、とにかく気候変動交渉をより野心的に迅速に進めるために、その多くが最貧国を含む途上国でありながらも、先進国と途上国の橋渡し的な発言をすることが多く、心から気候変動条約の進展を願うグループであるからです。 一方、AOSISは、とにかく早く議長を決定し、山積しているダーバンプラットフォーム作業部会の内容をすぐに交渉して欲しいと発言。EUを含め、多くの国が賛同しました。
 今後、ADPの議長をなるべく早く決定し、透明性を高めるためにもそのプロセスや結果をUNFCCCのウェブサイトで通告することが通告されました。
 いずれにせよ、会議開始後5日間が経ちましたが、このような重要な作業部会の議長が決定していない、というのは前代未聞の出来事です。気候変動交渉の難しさを露呈する事態となっています。今は、全てが政治的駆け引きとなっています。

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